受験が近づくと、「少しでも長く勉強しなければ」と考え、夜遅くまで机に向かうことが増えてきます。しかし、勉強時間を増やすために睡眠を削ると、翌日の集中力や判断力が低下し、同じ問題を解くにも時間がかかることがあります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、中学生・高校生は8~10時間を参考に睡眠時間を確保することが勧められています。また、良質な睡眠は集中力を高め、学習した内容を定着させる働きがあるとされています。受験勉強では、起きている時間の長さだけでなく、学んだ内容を翌日も使える状態にすることが大切です。
1.寝る時刻より、起きる時刻を先に決める
受験期の生活を整えるときは、「何時に寝るか」だけでなく、「毎朝何時に起きるか」を先に決めましょう。
特に入試は朝から始まることが多いため、午前中に頭が働く生活リズムをつくっておくことが重要です。休日も起床時刻を大きくずらさず、起きたらカーテンを開けて朝の光を浴び、朝食をとります。
夜型の生活を一日で変えようとせず、起床時刻と就寝時刻を少しずつ早めていくと、無理なく試験時間に合わせられます。思春期はもともと夜更かしや朝寝坊になりやすいため、本人の意思だけの問題と考えないことも大切です。
2.寝る前は「新しい勉強」より「短い復習」
就寝直前まで難しい問題に取り組むと、考えが止まらなくなり、布団に入っても頭が興奮したままになることがあります。
寝る前の10~15分は、新しい単元を始めるのではなく、その日に覚えた英単語、漢字、公式、年号などを軽く見直す時間にしてみましょう。そして翌朝、答えを見る前に思い出します。
「夜に確認する」「眠る」「朝に思い出す」という流れをつくることで、ただ長時間読み続けるよりも、自分が本当に覚えている部分と忘れている部分を確認しやすくなります。睡眠には学習内容を強固にする役割があるため、復習と睡眠を一つの学習計画として考えることがポイントです。
3.強い眠気には、長時間粘らず短い仮眠を使う
文字を読んでも内容が入らない、同じ行を何度も読み直すというときは、無理に勉強を続けても効率が上がりません。
そのようなときは、昼食後から早い午後に、20分程度を目安に目を閉じて休みます。ベッドで本格的に眠るのではなく、椅子やソファに座り、アラームを設定して休む方法もあります。
2025年に発表された高校生を対象とする研究では、35分間の仮眠時間を設けたグループは、静かに起きていたグループより、その後に行われた授業内容のテスト成績が高くなりました。実際に眠っていた時間の平均は約17分でした。ただし、夕方以降の長い仮眠は夜の寝つきを妨げることがあるため、夜の睡眠の代わりにはしないようにしましょう。
4.布団の中を勉強場所にしない
寒い日などは、布団に入りながら参考書やスマートフォンを見たくなります。しかし、布団の中で問題を考え続けると、寝床に入っても脳が勉強の続きを始めてしまいます。
勉強は机で終わらせ、分からなかった問題や翌朝取り組む内容は、紙に一つだけ書いておきましょう。「続きは明日やる」と決めることで、頭の中で問題を抱えたまま眠ろうとする状態を減らせます。
布団は勉強の延長をする場所ではなく、翌日の集中力を回復させる場所として分けておくことが大切です。
5.受験期こそ寝具の小さな違和感を放置しない
長時間机に向かう受験期は、首や肩、腰に負担がたまりやすくなります。そのうえ枕の高さが合っていない、マットレスが沈み込みすぎる、掛け布団が重くて寝返りを妨げるといった状態があると、朝まで体を十分に休めにくくなります。
朝起きたときに首や腰が痛い、夜中に何度も目が覚める、布団の中が暑い、足元だけ冷えるといったことがないか確認してみましょう。
枕の高さ、敷き寝具の硬さ、掛け布団の重さや保温性を本人の体格や季節に合わせ、自然に寝返りができる環境を整えます。寝室の光、音、温度も睡眠に関わるため、暖房をつけすぎたり、厚い寝具を重ねすぎたりしないことも大切です。
睡眠も受験勉強の一部として考えよう
受験勉強では、机に向かっている時間だけが努力ではありません。学習した内容を整理し、翌日に集中できる状態へ戻す睡眠も、勉強の一部です。
勉強時間を確保しながら、毎日の起床時刻、短い復習、適切な仮眠、寝具環境を整えていきましょう。睡眠を削って一日だけ頑張るよりも、良い状態で勉強を続けられる生活をつくることが、本番で力を発揮するための対策になります。
